COE総括シンポジウム
「持続可能な福祉社会の構想――公共研究の到達点」

日時:2009年2月22日(日)13:00〜18:15

会場:千葉大学人文社会科学系総合研究棟2階マルチメディア会議室
   http://www.chiba-u.ac.jp/general/about/map/nishichiba.html(21番の建物)
ゲスト: 伊東俊太郎氏(東京大学名誉教授)
     深井慈子氏(南山大学総合政策学部教授)

詳細
 2004年度後半からスタートした千葉大学における21世紀COEプログラム「持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点」(2004−2008年度の5ヵ年計画)は、そのまとめの時期を迎えることとなった。

 日本社会がこれまで経験することのなかった形で進行する様々な格差や排除、コミュニティの崩壊といった状況に対応し、あるべき政策を展開していくにあたり、まず問われるのは公共性ということの根底的な意味の問いなおしである。同様に、現在喫緊の課題となっている環境をめぐる諸問題に対応していくにあたっても、世代間の公平性や継承性など、公共性の現代的な意味が鋭く問われている。

 他方、格差や貧困等をめぐる「福祉」に関わる領域と、地球温暖化、自然保護、リサイクル等をめぐる「環境」に関わる領域は、多くの場合まったく異なる文脈で論じられ、その相互の関係やそれらの全体を含んだ政策対応や社会モデルの構想といったことはほとんど行われていない。このような認識を踏まえ、「環境−福祉−経済」という3つの領域の全体を視野に入れた探求と、そこから展望される望ましい社会像としての「持続可能な福祉社会」の構想を追求してきた。「持続可能な福祉社会」とは、「個人の生活保障や平等が実現されつつ、それが環境制約とも調和しながら長期にわたって存続できるような社会」という社会像をさし、そのような社会を構想していくにあたって、私たちは「公共性」という基本概念を軸にその価値・規範原理や主体のあり方等を明らかにするための「公共研究」を展開してきた。

   以上のような「持続可能な福祉社会に向けた公共研究」を展開するにあたり、私たちのCOEでは以下の6つの個別推進プロジェクトを設定し、それぞれの相互連関に十分な関心を向けながら、個別具体のテーマの研究を進めてきた。

(1)「持続可能な福祉社会」構想プロジェクト
(2)公共研究プロジェクト
(3)持続可能な経済システムプロジェクト
(4)アジア福祉ネットワークプロジェクト
(5)労働−福祉ネクサス研究プロジェクト
(6)アジア・中東における伝統・環境・公共性プロジェクト

 本シンポジウムは、これらの個別プロジェクトの活動成果を報告するとともに、プロジェクトの全体を通じて得られた、研究内容面及び教育面や社会的貢献を含む活動の実績について、学外からのゲストも含めたパネルディスカッションでの議論を通じて、明らかにしていくことを目指している