「18世紀サン=ドマング島における奴隷労働」


18世紀フランスは、おおよそ82万人の黒人奴隷をカリブ海諸島に輸送した。その大半 は、「アンティ−ユ諸島の真珠」と呼ばれたサン=ドマング島で取引され、さとうき びプランテーションでの労働力として活用された。本報告では、あるプランターが書 き残した日誌を分析対象史料とし、農園経営の実態を考察する。とくに、一般には 「安価な労働力」として理解されている黒人奴隷が、本当に低コストな労働力であっ たのか、という点について検討したい。プランテーションにおける奴隷労働の現実を 知ることは、奴隷制の内実そのものに接近する知見を提供するだろう。