「ピーター・A・ホール/デヴィッド・ソスキス編『資本主義の多様性――比較優位 の制度的基礎』を読む」


本COE事業推進メンバーで「労働−福祉ネクサス」論研究プロジェクトを担当する安 孫子誠男教授が共訳された、ピーター・A・ホール/デヴィッド・ソスキス編(遠山 弘徳・安孫子誠男・山田鋭夫・宇仁宏幸・藤田菜々子訳)『資本主義の多様性――比 較優位の制度的基礎』(ナカニシヤ出版)が2007年8月に出版されました*。本書は、 現代資本主義を「コーディネイトされた市場経済」と「自由な市場経済」に大別し、 企業を視座の中心に据えた上で、それぞれの生産レジームがもつ制度優位を比較検討 するものです。しかし、そこでの分析の視野は、異なる生産レジームにおけるアク ターの強みを明らかにするだけではなく、そのレジームにおける社会保護・技能形成 に及ぶものであり、本COEの「労働−福祉ネクサス」論研究プロジェクトにとって重 要な理論的基盤を提供する研究です。今回は、本学大学院博士課程の佐藤健太郎氏に 第4章「社会保護と技能形成――福祉国家の再解釈」を中心に報告していただく予定 です。 * Peter A. Hall and David Soskice (eds.), Varieties of Capitalism: Institutional Foundations of Comparative Advantage, New York: Oxford University Press, 2001.