▼公共政策セクション対話研究会 第14回
<福祉環境交流センター 連続セミナー第33回>
「V's Cafe(ボランティアーズ・カフェ)構想について:大学−地域−自治体の連携に向けて」報告

 千葉大学21世紀COEプログラム 持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点では、“市民社会との直接的対話・交流”を通じた新しい大学のあり方の創造がひとつの柱となっている。公共研究センター公共政策部門では、福祉や環境に関する市民活動と大学との連携の場としての「福祉環境交流センター」の活動や、大学を核にNPOや行政と協力して大学生から社会人への移行を支援する“若者仕事起こしプロジェクト”に取り組んでいる。
 2006年2月2日の公共政策部門第14回対話研究会<福祉環境交流センター連続セミナー第33回>では、千葉市が企画している“V's Cafe(ボランティアーズ・カフェ)”というボランティア情報の発信拠点を西千葉駅近辺に設置する計画について、市からの説明と大学やNPO等との意見交換を行った。千葉市保健福祉局次長の川又竹男氏を始めとして、千葉市や稲毛区、および千葉市社会福祉協議会ボランティアセンターの担当者から、事業計画の概要をご説明いただくとともに、参加した大学関係者や学生、NPO団体等と率直かつ活発な質疑や意見が交わされた。
 千葉市が策定中の平成18年度から5か年の「地域福祉計画(案)」では、「住民参加」、「連携」、「共生」の地域福祉を推進する3つの視点と、少子高齢化に伴って多様化・増大する保健、医療、介護、子育て支援などの市民ニーズに対する住民自身による「自助」、地域住民同士が支え合う「共助」、その基盤づくりと支援を行う「公助」の役割分担と連携が掲げられている。「ボランティアーズ・カフェ」は、千葉大学西千葉キャンパスの最寄り駅であるJR西千葉駅周辺に、ボランティア活動に関する情報の発信、ボランティアの登録や紹介、活動についての相談や指導を行う情報発信拠点を設けるという計画である。千葉大学は、ボランティアを希望する学生がおり、学内にはNPO等の市民活動の関係者とのさまざまな形での交流があり、大学も地域との連携を図ろうとしている。そのような機運と諸条件が千葉市の「ボランティアーズ・カフェ」構想と接点を持つことになった。
 今回の対話研究会では、市が提供する「ボランティアーズ・カフェ」というスペース、インターネット端末やボランティア関連の書籍や非常勤の予定ではあるものの常駐するスタッフという活動基盤が、どのように具体的な活動に結び付いて行くのかについて、福祉環境交流センターを利用するNPO等の関係者や学生、COEプログラムの関係者といった多様な立場から忌憚のない意見が交わされた。予定時間を超えて交わされた‘対話’では、「カフェ」という名称から参加者が抱いたイメージと市が想定している内容とのズレ、市が掲げる 「地域における新しいコミュニティづくり」に向けた具体的な方法論における各参加者と行政との認識や期待の温度差などが浮かび上がった。また、ボランティアーズ・カフェのオープンに向けて今後もこうした対話の場を設けていくこととなった。なお、本会には古在豊樹学長も出席し、行政、市民、大学の連携にふさわしい ‘対話研究会’となった。

2006年2月2日(水)15:00〜16:30

於:千葉大学大学院社会文化科学研究系総合研究棟2階 マルチメディア会議室

(文責:野村眞弓)

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